おおよそ煙草の箱を2つ重ねた程度のサイズ。 ではあるのだが、このスピーカーはエンクロージャーを積極的に震わせて音を広げるタイプ。 また、パッシブラジエーターの音道を通って出てくる低音の出口は、スピーカーの反対側。 なので、小さいくせに土台がしっかりした場所に設置しないと音が汚れるし、スピーカーの反対面を壁にくっつけて設置すると、とたんに低音が寂しくなるという。 音の広がり感を出すためにエンクロージャーを積極的に震わせるチューニングには賛成だが、なかなかストイックな仕様のため「良い音」を聞くのはなかなかに難しい。 と言いつつ、ぽん置きの状態(後面開放、しっかりした作りの家具の上)で試聴してみると、低音が「ブンブン」言う今どきの仕様特性と違い、低域から高域までしっかりとバランスが取れている。 最近このクラスでも標準搭載機が増えてきた「2台でステレオ構成」が組めないのは残念だが、音の広がり感である程度はカバーできているため、あまり不満には思わないだろう。 その代わりと言っては何だが、塩ビやプラスチックが多用されているユニットバスへの設置は、あまりオススメできない。 DIYショップで販売している「固い木材の、角材の端材(10cm角の立方体サイズ)」を用意し、防水処理(硬化が進んでくれる)した上でスピーカーと湯船の縁の間に挟む。 で、このスピーカーを鳴らすと、お風呂でも極上の音体験が楽しめるだろう。 こういったストイックさは、良くも悪くもSONYの製品であることを強く感じさせる製品だと思う。 しかしながら、このスピーカーの特性を理解した上で活用することができれば、同価格帯の他社スピーカーよりも確実に満足度は高いと言い切れる。 腕に覚えのある皆さんに強くお勧めする次第である。