発売から4年経ってモデル末期かなと思いつつも結局moXF6を購入しました。巷のレビューではあまり書かれていない「楽器としての観点」から長所短所を3つずつ報告します。 <○長所1:演奏性の高いセミウェイテッド鍵盤> FS鍵盤ほどスコンと深くはありませんがトントンと明確なストロークで、強弱の表現も大変しやすく、長時間の練習でも弾き疲れしづらいです。黒鍵の表面がややマットなためか指がスッと乗り、また根元側(奥)でも先端側でも反応がばらつかないので、黒鍵が多いパッセージや速いコードワークも安定した自然なタッチで弾けます。この価格帯としては大変貴重な「楽器として合格点の鍵盤」です。 <○長所2:地味に高機能なシンセサイジング> 「motif XFと同じエンジン」がウリです(ただし「同じ音」は出ません。詳細後述)が、波形が同じというだけでなく、凝った音作りのできる豊富なパラメターと広い可変範囲も備わっています。操作ロジックや階層はシンセの基本を知っている人ならマニュアル不要なくらい分かりやすいですし、PCやソフトシンセに慣れた方にはサウンドエディターもあり、探究心を満たす地味に高機能なシンセサイザーです。 <○長所3:音圧不足を実運用で補う設計> この機種は12Vアダプター電源で動作するので、100V駆動のハイパワーDAコンバータ内蔵のハードシンセとの間には越えられない壁があって「motif XFと同じ音色」でも音圧は全く違い、DTMでは問題なくとも現場ではパワー不足なことがあります。そんな時はパネル左側下段の4つのツマミ、デフォルトスタンバイ状態のパラEQを使えば(安直ですが)音色ごとに数秒で即席ガツン化できます。元々の不利を簡易な代替手段で補う実戦的な設計と思います。 <×短所1:アフタータッチなし> 競合他社の同クラス機種もみなアフタータッチはありませんが、本機はイニシャルタッチの感触がとてもいいので、つい指が勝手に表現力を求めてFS鍵盤の上級機のように押し込んでしまうのです。両手がふさがっていても指の力だけでフィルターを開いたりビブラートをかけたりできるアフタータッチは個人的にはやはりほしかったです。 <×短所2:コストダウンしすぎのホイール> モジュレーションとピッチベンドの両ホイールは面取りされておらず、エッジはちょっとぶつけただけで傷ついてささくれ立って