−このシンセの位置づけ− KROMEは、プロ用のM3の廉価版であるM50の後継機です。 −何が違うか− 音源システムは基本的に同じですが…… 1. デザインが普通に M3もM50もデザインが変なので敬遠する人が多かったんですが、まったく普通になりました。 2. オシレータ(同時発音数)がM3と同じ120に M50の80に対してかなりよくなりました。 3. 大容量波形に対応 これに伴い、ピアノ、エレビ、ドラムキットの音が超高音質になりました。 −ゴージャスすぎるピアノ− このシンセの売りはピアノの音が素晴らしいことです。 88鍵あるすべての鍵盤の音を8段階の強さでサンプリングした波形を、一切省略せず収録しています。 他のシンセでは、たとえばループ処理といって、ピアノの音を伸ばすために同じ波形を(音量を下げながら)繰り返し継ぎ足していく、というような処理を駆使して、少ない波形からピアノの音を捻出しているのですが、このシンセはそんなことしません。この効果は大きく、演奏により複数の音が混ざると音の干渉による複雑な響きの変化が生じ、決して平坦な鳴り方にはなりません。 また、ダンパーによる共鳴音も収録しており、これがかなりうるさく響きます。 その結果、従来のシンセではありえないような複雑な響きが出せます。 ただし、打鍵の強さによる音色の無段階変化は達成していませんので注意が必要です。なんとなく無段階変化っぽい、という感じです。音に敏感な方は気づくでしょうし、イライラすると思います。 −足りないところ− 廉価機ですので幾つかの機能がありません。 1. サンプリング非対応 2. レコーディング非対応 3. USBオーディオ出力非対応 特に3はひどいと思います。PCで音楽製作をされるつもりの方は、かなり不便だとあらかじめ承知しておく必要があります。 それから残念なところ。 4. 鍵盤がへたり気味 これはたいへん神経質な方にとっては大問題ですが、ほとんどの方は気にならないと思います。 −ピアノの音の調整− そのままだと面白くないので以下の目標に合わせてピアノ音を調整したいと思います。 A. ターゲットはシューマンのトロイメライ B. 無段階音色変化の達成 C. タッチ次第で柔らかい音が出せるように 方法は簡単です。 (音色名 KROME Grand Piano → Traume